<薬物の適用経路>

 経口投与・非経口投与・吸入・舌下投与・座薬・腹腔内投与のどの経路でも肺を通過する。

  非経口投与には、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射などがある。
  即効性は「静脈内注射>皮下注射>筋肉内注射」


 経口投与で不適当なもの

  1.消化液で分解されるもの
  インスリン、エピネフリン、サルバルサン、ペニシリン など

  2.腸管から吸収が悪いもの
  クラーレ(ツボクラリン)、マグネシウム塩 など

  3.肝臓で分解されるもの
  天然性ホルモン(テストステロン、プロゲステロン、エストラジオール など)

  ※経口投与を可能にした合成ホルモンも作られている。
  テストステロン→メチルテストテロン
  プロゲステロン→ノルエチステロン  
 
  4.胃腸に対して刺激が強いもの
  抱水クロラール


 その他
  1.脂溶性なので胆汁が無ければ吸収できないもの
  フィトナジオン(ビタミンK1)
  

<薬物の作用に影響する因子>

 1.種差
  モルヒネの感受性 ヒト>ウサギ
  ヒスタミンの感受性 モルモット>マウス

 2.性差
  ヒトの感受性はでは 女性>男性 の傾向にある。
  ラットでは特に顕著。ヘキソバルビタールの作用はメスはオスの3倍近く長い。


 3.年齢差
  新生児・乳幼児では薬物の副作用が強く現れる。
  ↑肝ミクロソームの薬物代謝やグルクロン酸抱合能が低いから。
  抗生物質(クロラムフェニコールなど)は投与禁忌。
  
  小児用量を計算するためにYoungの式が用いられる。
  Youngの式=(小児の年齢)/(小児の年齢+12)
 
  ※クロラムフェニコールには骨髄損傷の重大な副作用があるが安価な代替品が存在しない。
   従って、WHOは多くの発展途上国で小児の治療に使用することを承認している。

 4.個体差
  遺伝因子によるもの。
  コリンエステラーゼ(ChE)活性が先天的に低いヒトはサクシニルコリン(スキサメトニウム)に異常反応を示す。
  ブドウ糖-6-リン酸脱水素酵素の不足したヒトはマラリア治療薬(プリマキン、パマキン)に異常反応を示す。
  
  ※ブドウ糖-6-リン酸脱水素酵素の欠乏は黒人に多い。

 5.病的状態
  病的状態によって大きく左右される。
  アスピリンは発熱時の体温は下げるが、平常時は体温を下げない。

 6.心理的状態
  プラシーボ効果など。